なぜなぜ管楽器(その5):閉管と開管とは?
こんにちは
サーガラのホルン吹きです
少し間が空いてしまいました
申し訳ありません
前回まで数学のおさらいをしていましたが、
なかなか本題に行けないので
ここで一旦本題に絡んだお話を
※この記事は管楽器の構造とその倍音特性を説明すべく書いているものです
※動機については下記記事を参照ください
さて、上記記事の説明のためにモデルを導入したいと思います。
とは言ってもそんなに難しいことはなく
下の図のような筒を考えれば終わりです。
これが最も単純で簡単な管楽器のモデルです。
下図の筒の端には2種類あります。
閉じた端と開いた端です。
閉じた端のことを閉口端とよび、開いた端を開口端と呼びます。
図の一番上のモデルは筒の両端が閉口端のモデルです。
このモデルの最も身近な楽器は管楽器ではなく太鼓などの
打楽器でしょう。
真ん中のモデルは筒の片側の端が閉口端、もう片側は開口端です。
形状は有名なポテトチップスであるチッ●スターの筒のようなものです。
プ●ングルスでもいいです。笑
このタイプは閉管楽器と呼ばれます。
クラリネットを代表とし、そのほかオーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバなどオーケストラで登場する管楽器のほとんどがこのタイプに属する。
図で一番下の筒のモデルは両端がともに開口端のものです。
トイレットペーパーの芯を想像していただけるとわかりやすいと思います。
このタイプの楽器は開管楽器と呼ばれます。
オーケストラで登場する楽器としてはフルートが属します。
上記をまとめると
■開管楽器
両側が開口端の筒
例:フルート
■閉管楽器
片側が開口端、もう一方が閉口端
例:クラリネット、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ
ここでご存知の方は疑問に思うかもしれません
閉管楽器は奇数倍音列しか出ないのにクラリネット以外は自然倍音列が出るではないか!!このモデルと対応が間違っている!けしからん!と
しかしながら、実際閉管構造なのです。
そもそもクラリネットだけが閉管楽器という分類の意味がわかりません。
随分と悩まされました。
調べても答えは出てこず、、、、
#頑張って探すと書いてありますが、詳細がわからない、、、
ちょこっと答えを言ってしまうと実は我々が自然倍音列だと思ってやまなかった音は
なぜこのような矛盾が生じているのかについてはこのシリーズの最後の目的地なので
まずは基本的な筒の共鳴を理解することを優先しましょう。
次にここで紹介した筒のモデルの中をどのように波が伝播するかについてですが、
これについては簡単に考えていきたいので、1次元系で考えましょう。
本当は筒は筒なので3次元的に内部空間が広がっています。
ですが、今考えたい共鳴に関する波動の進行方向である管の方向の波動が他の方向の波動に比べて支配的だと考えます。
逆に管の進行方向のみを考慮しよう!と言い切っても構いません。
それで現象を説明できれば良いですから。
まず共鳴をさせるためには管に音波を入れる必要があります。
そのために点音源を用意しましょう。
この点音源からは球状に音波が広がり、管に接した音波が管に入ります。
この時、管がとても細く、音源が管の延長線上にあり、十分に遠ければ、
管に入る音波は平面波と見做すことができます。
このようにすれば、管の方向のみの考慮で十分に良い精度の状況を作り出すことができます。
この時下図のように音波は伝播します。
このような系を1方向のみだけ考慮すれば良いので1次元系と呼びます。
ここからはこのような音波の伝播を調べていきたいと思います。
とりあえず今日はモデルの紹介とどういった状況を想定して調べていくのかの紹介を行いました。
次回からはいよいよ波動方程式の導出と共鳴条件を紹介していきたいと思います!
今日はこのくらいで。
演奏会の方も是非よろしくお願いいたします!
練習日記(2018/3/10, 11) 室内楽のダイナミズムを追って
先週末は土曜日の代表宅合宿、日曜夜の練習と、二日間集中して合わせました。
練習日記としてはアップしていないのですが、実は3月4日に音楽監督である指揮者の濱本広洋先生のご指導を賜り、ベートーヴェンについてコメントをいただきました。
特に楽想の転換点の踏み方について多くアドヴァイスをいただき、ソナタ形式の立体感をより鮮明に描けるようになりました。
やはりプロの音楽家ならではの視点から客観的に助言をいただけるのは団としても、個人としても貴重な機会であるとともに、音楽家として持つべき品格も学べる、本当に素晴らしい経験であります。
さて、濱本先生のご指導や古今の優れたアンサンブルから、如何に潜在する和声的なダイナミズムを演出するかが室内楽において肝であるということを実感しています。
その演出はデュナーミクはもちろんのこと、アゴーギクにおける自然と作為のバランスから成り立っているように思います。
すなわち、一流の演奏家は様々な音色やデュナーミクの幅を持っていると共に、アゴーギクについても多彩なボキャブラリーを有しているのです。
例えば、ラフマニノフやホロヴィッツといったピアノの巨匠はメヌエットやマズルカなど3拍子の曲では決して均等に拍を踏まずバランスを自在に操ります。
指揮者メンゲルベルクは(例え古典であっても)主題ごと、調性ごとに微妙にテンポ感を変えます。 室内楽においても、ロゼやアマールといった戦前の名楽団や戦後でもウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団などはアゴーギクが極めて柔軟でした。
そして、彼らはみな表情を作るために和声的に重要な声部を少し「早出し」しているのです。このようなアゴーギクの微妙な味わいこそがアンサンブルの本来の愉しみではないか、と日々思っております。
サーガラはまだまだ巨匠たちの名演とは程遠いレヴェルですが、彼らの持っていた精神性を少しでも獲得できるよう、精進しております。
今回の演奏会では、特にライヒャについて、旋律の柔軟性、内声やベースの調性感、楽式的な構造の明瞭化を追求しています。
その後も、更に成長したアンサンブルを実現できるよう頑張って参りますので、どうかご声援をお願い致します。
サーガラ木管五重奏団第6回定期演奏会
2018年3月21日(水祝)
16時半開場 17時開演
代官山教会
ベートーヴェン/ 弦楽四重奏曲 ハ短調 op. 18-4
ライヒャ/ 木管五重奏曲 イ長調 op. 91-5
モーツァルト/ 歌劇『魔笛』K. 620 序曲
入場無料・全席自由
第6回定期演奏会 練習録音公開!
こんにちは
サーガラのホルンです。
練習録音を公開しました!
全曲の一部ずつを紹介しています。
木管五重奏の雰囲気を掴んでいただければ幸いです。
今回から演奏会での新しい試みとして
楽器の仕組みなどの紹介をしようと思っています。
なぜ管楽器が管楽器たるか
なぜ自然倍音列が出るのかなどの解説や
身近な道具を使った実験を交え管楽器の仕組みを
実感していただけるとより親近感が湧き面白くなるかなーと
最終的に
などの爆弾発言的な真実の解説までたどり着きたいと思っています
残りわずかな練習期間となりましたが
全力で練習に取り組みます!
ぜひ足を運んでください!
サーガラ木管五重奏団第6回定期演奏会
2018年3月21日(水祝)
16時半開場 17時開演
代官山教会
ベートーヴェン/ 弦楽四重奏曲 ハ短調 op. 18-4
ライヒャ/ 木管五重奏曲 イ長調 op. 91-5
モーツァルト/ 歌劇『魔笛』K. 620 序曲
入場無料・全席自由
演奏会情報の過去記事です!
練習日記(2018/02/18)
代表のS です。先日の練習では細部の確認パート2として、主題の音楽的な進行を効果的にすることを課題として練習しました。オーケストラや吹奏楽では指揮者が音楽の流れを主導しますが、室内楽では自分で大まかな流れ、細かなアゴーギクを積極的に作っていかなければなりません。特に今回取り上げる古典派は精密に、しかしダイナミックに演奏していかないと、違和感を与えてしまう、或いは単調な音楽になってしまいます。つまり、楽譜通りに演奏して、しかも楽譜を超えた表現が要求される訳です。これは大変難しいことですが、自分でしっくりくる表現を見つけた時の喜びに勝るものはなく、それが楽しくてやめられないのです。
練習の後半ではライヒャop. 91-5 の通し練習をしました。ベートーヴェンは譜面が割と丁寧にかかれている上に戦前からの録音の蓄積があって様々な勉強手段があるのですが、ライヒャは参考にすべく過去の演奏も少なく、楽譜も不備が多く発想記号も十分とは言えません。だからこそ、奏者が自分で表現を見つけていかなければなりません。この営みは、まさに作曲家の活動であり、一人一人が「小ライヒャ先生」にならないと説得力のある演奏にならないのです!そんな訳で、集中力と柔軟性が終始要求されて、非常に疲れてしまいました(笑)本番までにもっと自然体で色々な技を効かせられるように経験を積んでいきたいと思います。
演奏会まで一ヶ月を切りました。来月は会場での練習や代表宅での「合宿」といった様々な練習を通して、より充実したハーモニーと、柔軟な表現を目指していきます。
近日、演奏会のお問い合わせやご予約が増えて参りました。席数も限られておりますので、是非右記リンクからのご予約をお願い致します!団員一同お待ちしております。
サーガラ木管五重奏団第6回定期演奏会
2018年3月21日(水祝)
16時半開場 17時開演
代官山教会
ベートーヴェン/ 弦楽四重奏曲 ハ短調 op. 18-4
ライヒャ/ 木管五重奏曲 イ長調 op. 91-5
モーツァルト/ 歌劇『魔笛』K. 620 序曲
入場無料・全席自由
練習日記(2018/02/11)作り込みについて
代表のSです。
先日の練習ではベートーヴェンとライヒャの2、4楽章を中心に、細部の作り込みを確認しました。第2楽章は古典的な4楽章形式だと普通緩徐楽章になるのですが、今回取り上げるベートーヴェン op. 18-4 の第2楽章には Andante scherzoso quasi allegretto と記されています。確かに緩徐楽章の性格を帯びてはいるのですが、停滞してはスケルツォの性格が出ません。しかし急ぐとアンダンテではなくなってしまう、、、そして第2、3楽章が共に3拍子ですが、両者の拍感はを明確に描き分けなければなりません。更に中盤では緻密な対位法やロマンティックな転調が出現する、となかなか難しい楽章であります。今回の演奏会でこれらの諸要素を表現できるように細部の作り込みから構成のダイナミズムまで、工夫を凝らしています。
難しいついでに、ライヒャの4楽章もかなり気難しい曲であります。というのも、目立った変化なくソナタ形式を書ききってしまっているのです、しかも長い!その上楽譜の情報量がすくなく、楽譜通りに音を出しただけではとても冗長な音楽になってしまいます。そこで、構造を把握した上で、楽曲の輪郭が明確になるようにいくつかの「仕掛け」を作ることにしました。いわば、白黒の写真に彩色するような作業です。数カ所でこれを施してみると、これまで見えてこなかったライヒャの豊かな音楽性が顔を覗かせて来ました。よりよく音楽を理解し、より深いレヴェルでの解釈を進めて参りたいと思います。
演奏会は3月21日(水祝)の夕方から、代官山教会で行います。管弦楽曲や弦楽四重奏曲の木管五重奏版やライヒャのマイナーな曲と、珍しくも奥深いプログラムです。是非足をお運びいただければ幸いです。
予約は右記リンクからメールにて承っております。ご予約お待ちしております。
サーガラ木管五重奏団第6回定期演奏会
2018年3月21日(水祝)
16時半開場 17時開演
代官山教会
ベートーヴェン/ 弦楽四重奏曲 ハ短調 op. 18-4
ライヒャ/ 木管五重奏曲 イ長調 op. 91-5
モーツァルト/ 歌劇『魔笛』K. 620 序曲
入場無料・全席自由