練習日記(2018/3/10, 11) 室内楽のダイナミズムを追って
先週末は土曜日の代表宅合宿、日曜夜の練習と、二日間集中して合わせました。
練習日記としてはアップしていないのですが、実は3月4日に音楽監督である指揮者の濱本広洋先生のご指導を賜り、ベートーヴェンについてコメントをいただきました。
特に楽想の転換点の踏み方について多くアドヴァイスをいただき、ソナタ形式の立体感をより鮮明に描けるようになりました。
やはりプロの音楽家ならではの視点から客観的に助言をいただけるのは団としても、個人としても貴重な機会であるとともに、音楽家として持つべき品格も学べる、本当に素晴らしい経験であります。
さて、濱本先生のご指導や古今の優れたアンサンブルから、如何に潜在する和声的なダイナミズムを演出するかが室内楽において肝であるということを実感しています。
その演出はデュナーミクはもちろんのこと、アゴーギクにおける自然と作為のバランスから成り立っているように思います。
すなわち、一流の演奏家は様々な音色やデュナーミクの幅を持っていると共に、アゴーギクについても多彩なボキャブラリーを有しているのです。
例えば、ラフマニノフやホロヴィッツといったピアノの巨匠はメヌエットやマズルカなど3拍子の曲では決して均等に拍を踏まずバランスを自在に操ります。
指揮者メンゲルベルクは(例え古典であっても)主題ごと、調性ごとに微妙にテンポ感を変えます。 室内楽においても、ロゼやアマールといった戦前の名楽団や戦後でもウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団などはアゴーギクが極めて柔軟でした。
そして、彼らはみな表情を作るために和声的に重要な声部を少し「早出し」しているのです。このようなアゴーギクの微妙な味わいこそがアンサンブルの本来の愉しみではないか、と日々思っております。
サーガラはまだまだ巨匠たちの名演とは程遠いレヴェルですが、彼らの持っていた精神性を少しでも獲得できるよう、精進しております。
今回の演奏会では、特にライヒャについて、旋律の柔軟性、内声やベースの調性感、楽式的な構造の明瞭化を追求しています。
その後も、更に成長したアンサンブルを実現できるよう頑張って参りますので、どうかご声援をお願い致します。
サーガラ木管五重奏団第6回定期演奏会
2018年3月21日(水祝)
16時半開場 17時開演
代官山教会
ベートーヴェン/ 弦楽四重奏曲 ハ短調 op. 18-4
ライヒャ/ 木管五重奏曲 イ長調 op. 91-5
モーツァルト/ 歌劇『魔笛』K. 620 序曲
入場無料・全席自由