なぜなぜ管楽器(その7):1次元波動方程式の導出 後編
こんにちは!
サーガラのホルンです。
今回はいよいよ波動方程式の導出です!
前回のおさらいですが、前回はポアソンの法則から
という式を導きました。
変数xは管内の位置、tは時刻を表します。
また、pは音圧、γは気体の比熱比、P0は大気圧、uは気体分子の変位(元ある位置からのずれ)を表します。
これを無理やり日本語にすると「ある地点での音圧pは、ある地点とちょっと先の地点での空気分子の位置のずれuの差に比例する」ということになります。
ものすっっっごく分かりずらいですが、まあそういうことです。
導出については前回の記事をご覧ください。
さて本題です。
今までは熱力学の観点から攻めてきましたが、
ここからは力学(古典力学)の観点から攻めてみましょう。
古典力学といえばみなさんおなじみのニュートンの運動方程式です。
高校物理学でもやりますね。
この運動方程式はアイザック・ニュートンの著書プリンキピアに載っている
運動の法則の2番目に書かれているものです。
運動の法則:第二法則
物体に力が働くとその力の方向に加速度が生じる。その加速度の大きさは力に比例し、物体の質量に反比例する。
なのでちゃんと考えると上式はまずく、まずベクトルで考えなければなりません。また、第二法則の内容をそのまま式で表すと
となります。
今考えているのは一次元で1方向しかないので、それを実数の正負で表すため、
で問題ないのです。多次元を扱う場合はしっかりとベクトルで扱う必要があります。
話が逸れてしまいましたが、ニュートンの運動方程式を今のモデルに当てはめてみたいと思います。前記事でのモデルを図に表すと下図のようになります。
断面積S厚さΔxの空気柱の塊を考えます。
するとこの空気の密度をρとして、質量は
と表すことができます。一方で加速度は空気中分子の加速度なので、
変位uを時刻で2回微分したものが加速度となります。
力は断面積x音圧なので以下のようになります。いつもの通り微分を使って近似します。
材料が揃いました。
これをma=Fに代入すると以下の式になります。
両辺SΔxで割れるので割ると
という式が得られます。
ここで、前回ポアソンの法則から得た式
をxで変微分して上式に代入すると
となります。
書き直すと
となります。
ここで、便宜的に右辺の係数をcの2乗と書くことにします。
すると運動方程式は以下のようになります。
これが求めたかった方程式の気柱の波動方程式です。
お疲れ様でした。
やっと空気中を伝播する音波の基礎方程式を導くことができました。
スタート地点に立ちました。
次回からはこの方程式の解き方について触れたいと思います。