サーガラ木管五重奏団

サーガラ木管五重奏団の紹介や演奏会情報、その他楽団等で使えるお役立ち情報など、様々な情報を提供しています。木管五重奏はフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンから構成され、どれも全く異なる音色のハーモニーが特徴です。是非演奏会にお越しください!

なぜなぜ管楽器(その4):数学的準備(偏微分のおさらい)

サーガラのホルンです

 

今回は前回に引き続き微分について書きたいと思います
前回の記事はこちら↓
saagarawq.hatenablog.com


今回書く記事を乗り越えると数学的準備のほとんどが済みます

 

さて、私たちが住んでいる世界で何かを調べるときには

「いつ」

「どこで」

「なにが」

「どのように」

ということを念頭に置くと思います。
今調べたい音波に置き換えると

「いつ」→ 時刻t

「どこで」→ 位置(x,y,z)

「なにが」→ 波動関数u(t,x,y,z)

「どのように」→ どのように

という対応になると思います。
最後のどのようには対応がそのままですが、
波動方程式を解いた結果で考察するとわかるはずです。

ここでムムム!どうしたら良いのか!と思うことがあります。
前回の記事では1変数の微分について行いましたが、上記の対応を見てわかる通り
今考えたい波動関数u(t,x,y,z)は変数が4つもあります。
このときどのように考えれば良いのか、
またどう扱えばいいのか、

今回は多変数の微分について紹介したいと思います。

いきなり答えを書いてしまうと

偏微分

を使います。

偏微分というのはある1つの変数以外定数と思って微分を行うことです。

例えば関数f(x,y)=xy+x^2+y^3の時

\frac{\partial f}{\partial x}=y+2x
\frac{\partial f}{\partial y}=x+3y^2

となります。
偏微分では偏微分であることを示すため
dの代わりに\partialという記号を用います。
上段の式はyを定数だと思ってx微分を、
下段の式はxを定数だと思ってy微分しています。
前回の記事の1変数の微分をマスターしていれば特に問題ない演算かと思います。

微分との関係

偏微分はある1変数のみに関する変化率であったのに対して
全ての変数が動くときの変化率を全微分と言います。
#本当はもう少し細かい話が色々とあるのですが、ここでは
#全微分をこのように言っておきます。

では、2変数関数f(x,y)に関して全微分を計算して見ましょう。
まずはf(x+\Delta x,y+\Delta y)f(x,y)の差\Delta fを計算します。

\Delta f=f(x+\Delta x,y+\Delta y)-f(x,y)\\
=f(x+\Delta x,y+\Delta y)-f(x,y+\Delta y)+f(x,y+\Delta y)-f(x,y)\\
=(f(x+\Delta x,y+\Delta y)-f(x,y+\Delta y))\frac{\Delta x}{\Delta x}+(f(x,y+\Delta y)-f(x,y))\frac{\Delta y}{\Delta y}\\
=\frac{f(x+\Delta x,y+\Delta y)-f(x,y+\Delta y)}{\Delta x}\Delta x+\frac{f(x,y+\Delta y)-f(x,y)}{\Delta y}\Delta y

ここで式をよく眺めてみると、
前半は変数yy+\Delta yに固定されてxの変化率(微分)を求める式に(x偏微分
後半はxが固定されてyについての変化率(微分)を求める式になっています。(y偏微分
ということは全微分偏微分の関係は以下のようになります。
df=\lim_{\Delta x,\Delta y\to0}\Delta f(x,y)=\frac{\partial f(x,y)}{\partial x}dx+\frac{\partial f(x,y)}{\partial y}dy
ここで
\frac{\partial f(x,y)}{\partial x}=\lim_{\Delta x\to 0}\frac{f(x+\Delta x,y)-f(x,y)}{\Delta x}
\frac{\partial f(x,y)}{\partial y}=\lim_{\Delta y\to 0}\frac{f(x,y+\Delta y)-f(x,y)}{\Delta y}

一般に関数f(x_1,x_2,\dots,x_n)の全微分は以下のようになります。
df=\sum_{i=1}^{n}\frac{\partial f}{\partial x_i}dx_i

まあこの辺りはあまり意識することがないかもしれないので参考程度に

まとめ

さて、まとめを行いたいと思います。
偏微分とは関数の微分においてある特定の変数にのみ着目して
微分を行う演算です。そのほかの変数は定数と見ます。

実際にどのように偏微分が登場するかは次回以降で