練習日記(2017/9/3)
こんばんは
サーガラ団長です
ムソルグスキーは習作の一例を除いてソナタ形式の作品は書いておらず、もちろん『展覧会の絵』のその例に漏れません。一方でライヒャはソナタ形式の書法が醸成されたウィーン楽派の中心に位置しており、かなり厳格な書法が用いられています。今回の演奏会は性格が対照的ともいえる二曲で構成されているので、そのような構造的な対比もお楽しみいただければと思います。
そしてこの構成の違いというのは少なからず演奏上でも意識する必要を感じました。『展覧会の絵』はプロムナードが循環主題的な役割を演じているものの、各絵画に出てくるモティーフは基本的に一度きりで、それぞれを短いスパンのうちに確実に演出しつくさなければなりません。瞬発力と多彩で時に尖った表現力を要するところが難しさでもあります。一方で部分部分のキャラクターが非常にはっきりしているので、演奏の方向性については作曲者から強いメッセージを感じることができます。特に展覧会の絵は様々なモティーフが代わる代わる出てきて、そのバランス感覚も優れております。私見ですが、ロシアの作曲家はこういった性格的主題のバランスに優れている傾向があるように思います。例えば、『くるみ割り人形』の第二幕なども同様の理由があって人気を博しているといえるでしょう。