なぜなぜ管楽器(その6):1次元波動方程式の導出 前編
こんばんは、
サーガラ のホルンです。
なんだかんだで
演奏会後は
更新頻度が落ちてしまいます。
すみません。
気を取り直して
今回はいよいよ波動方程式の導出です!
波動方程式というとなんだかとても難しく感じてしまいますが、
一言で表すと、
波の伝わり方を表した方程式
です。
この波動方程式は今回求めるものと実際の形は
異なるかもしれませんが、
周りにあふれています。
怖い地震
見えている光
聞こえてくる音
生活には欠かせない電線を伝わる電流
これらも波動方程式に従って空間を伝わっています。
なんだかとっても身近ですね
今回はまっすぐな管の中の波動方程式を求めます。
以前の記事
にて音波の性質を紹介しています。その中で
音波は疎密波と呼ばれる波で、空気中では空気中分子が
集まったり離れたりを繰り返して音波を伝えます。
イメージとしては下記youtubeの解説がわかりやすいと思います。
下のyoutubeの縦波が私の言いたい疎密波に相当します。
まさにこの疎密波のイメージで
波動方程式を導出していくことにしましょう。
さて、前置きが長くなりましたが、
ここからいよいよ本題です。
まずは気体の性質について考えましょう。
音波振動による気体の振動は十分に速く熱のやり取りはないものとして考えます。
するとポアソンの法則が成立します。
いきなり数式が出てきましたが、これは断熱条件下での気体の圧力と体積の関係を表したものです。Pは圧力、Vは体積を表します。
Vの右上についているものは定数でギリシャ文字のガンマです。
物理的には比熱比と呼ばれる量になっています。
ここも深く入ると面白いのですが今回は我慢、、、、
ガンマは気体の性質を表したただの数字だと思ってください。
右辺のconst.というのは一定という意味です。
ということは気体の体積を小さくすると圧力が大きくなり、
気体の体積を大きくすると圧力が下がるとこの法則は言っています。
その変化の仕方を数式にしたものだと考えてください。
さて、ここで音が無い時とある時の比較を行いたいと思います。
音がない時は気体中の粒子も振動していません。
この音がない状態である微小空間を取り出して考えます。
具体的には下図のVで示した領域です。
今はまっすぐな管を考えており、その断面積をSとします。
厚さをΔxとしてV=SΔxが微小領域です。
音が無い状態から音がある状態に変化させた時、空気中分子は振動します。
この時、元の微小空間にあった分子で構成される変化した微小空間との比較を行います。
ここでもポアソンの法則は成り立っているので、以下の式が成立します。
いきなり難しくなってきましたが、めげずに行きましょう。
P0は大気圧、pは音によって変化した圧力で音圧と呼ばれます。
δVはデルタVと読み、元の微小空間からの体積変化を表します。
体積、圧力が変化してもそれらの圧力と体積のガンマ乗の積は一定の値をとるので、上式が成立します。
ここで、左辺を展開してみましょう。
以前の記事の微分の知識を応用すると
音による体積変化量はとても小さいので
という式が成り立ちます。
真ん中のニョロん(〜)というのは近似しますよという意味で
だいたい同じです!ということを言っています。
上式を使って左辺を計算すると
となります。ここで音圧とデルタVの積はとても小さい量なので無視しています。
もうちょっと難しい言い方をすると、近似では微小量の2次以上の項を無視しています。
従って、元の式から
のように変形されました。
さらに式変形を進めると
このような関係式が得られます。
音圧と音による体積変化がだいたい比例の関係にあることがわかりました。
だいたいというのは先ほど近似を行っているためです。
この結果を信じて先に進むことにしましょう。
(余談)===============================================
物理学では数式をそのまま解こうとしても解けない問題がほとんどです。
そこで先人たちは偉大な手法を考え出しました。
それが近似という手法です。
これはもはや物理学の常套手段でより現実に近ければ近いことを解明しようとするほど良く用いる手法です。
そして、近似という手法は驚くべき成功を数々挙げてきました。
もはや近似なくして語ることができないことは山ほどあります。
身近な例では地上で働く重力が
と表されることも万有引力の法則
からゴニョゴニョ地球の形で積分したり積分したり積分したりすると求めることができます。
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次に
のδVについて考えてみましょう。
ここで変位というものを導入します。
ある位置の空気中粒子は音によって振動します。
その振動でのズレ具合を表したものです。
例えば下図位置xでの音による粒子のズレ、すなわち変位は
で表されます。
本当は時刻の関数でもあるので時刻をtとして
と書くべきですが、今は時刻については考慮しないので、無視します。
あとでちゃんと書き下す時に復活させます。
さて、上図にて音ありの場合の変化した微小領域V+δVを計算します。
右方向を正に取ります。
位置xの変位がu(x)なので当然位置x+Δxでの変位はu(x+Δx)となります。
これらの情報からV+δVは
ここで
を用いました。詳しくは過去記事をご覧ください。
という関係が求まります。
先ほど求めた
に代入すれば
が求まります。ここで、実際は音圧も変位も時刻に依存するので、
微分の記号が変わりましたが、これは偏微分といい、今の場合時刻tを定数と思ってxについてだけ微分しなさいという意味です。
詳しくは過去記事を参照ください。
過去記事もそんなに詳しくないけど、、、、
ふう、、、
読んでいただいている方も
頭パンクしそうになると思うので
とりあえず今回はここまでにしましょうか
次回はいよいよ1次元波動方程式を導きます。
種明かしをすると
圧力と変位の関係式を代入することで求めることができます。
出発は
この図になります。
やっとここまできたー
長かった、、、、
おやすみなさい